JR東日本の運賃格差について

  我が埼玉県は、かつて「ださいたま」などとやゆされてまいりましたが、土屋知事のさいたまを日本一のふるさとにしたいという切なる願いと御努力によって、特に最近は関東の都さいたま新都心の建設によって、その評価を大きく変えてきていることは、御案内のとおりでございます。
 しかしながら、残念なことに、ことJRの運賃に関しては、埼玉県が他都県、とりわけ宿敵神奈川県に大きく後れをとっているのであります。
 そのわけを順次説明してまいりたいと存じます。
 JR東日本の運賃には、東京周辺の電車特定区間というものがあり、これは特急の走る幹線やローカル線の地方交通線より安く設定されているのであります。また、私鉄が並行する区間は特定区間と指定され、安い私鉄運賃に近づけるために割引がされているのです。
 しかしながら、この電車特定区間、そして特定区間とも設定の根拠が不明確であり、かつ恣意的であって、我が埼玉県民が不当な差別、著しい不利益を受けているのであります。
 以下、具体例を申し上げます。よく聞いてください。
 まずは、電車特定区間であります。これは国鉄時代の国電区間にほぼ相当し、原則として空色の京浜東北線、オレンジ色の武蔵野線など、色で区別される通勤電車の走る区間であります。
 東京駅を起点とすると、北の埼玉は京浜東北線、埼京線の大宮までの30.3キロメートル、西の東京は中央線快速の高尾までの53.1キロメートル、東の千葉は総武線の千葉までの39.2キロメートル、南の神奈川は横須賀線の久里浜までの70.4キロメートルであります。横須賀線は、高崎線、宇都宮線と同じ中距離電車なのに、なぜか、なぜか電車特定区間に入っているのです。しかも、大宮までの倍以上の距離であります。
 とするならば、高崎線では64.7キロメートルの熊谷まで、宇都宮線でも64.7キロメートルの古河まで、川越線では60.9キロメートルの高麗川まで電車特定区間に入らなくては不合理だと思うのです。
 次に、特定区間では、営団地下鉄と競合する総武線の東京・西船橋間が本来380円のところが290円、京浜急行と競合する横須賀線の品川・久里浜間が、本来1,210円のところが890円となっています。しかも、横須賀線の横浜・鎌倉の間は、競合する私鉄もないのに、本来380円のところがなぜか330円に割り引かれているのです。
 ところが、埼玉県では、東武東上線と競合する埼京線、川越線の川越・池袋間が特定区間に指定されておらず、割引運賃になっていないのです。したがいまして、横浜・鎌倉間を特定区間から外し、川越・池袋間を設定すべきと思うのです。
 このように幾つか例を挙げてまいりましたが、我が埼玉県は、他都県に比べて割高な運賃をJR東日本に支払わされていると思うのです。つまり、埼玉県民の割高な運賃で他都県、とりわけ神奈川県民の割引運賃を補てんしていると言っても過言ではありません。もっと言えば、我が埼玉の富が、JR東日本を媒介に神奈川に奪われているような気がしてならないのであります。
 県当局は、こうした事態が十数年続いていることをご存じでしょうか。また、JR東日本の考え方、そして今後の改善策を総合政策部長にお聞きしたいと存じます。

 


青木 信之総合政策部長   吉田議員に御指摘をいただきましたJR東日本の電車特定区間や特定区間の運賃について、過去の経緯や現状について改めて調べましたが、これらはいずれも国鉄時代にできた制度でございます。
 もともと、国鉄の運賃、乗車距離に対してお客が支払う運賃でございますが、全国一律でございました。しかしながら、東京など大都市部での、特に利用者の多い区間におきまして、過大な利益が発生し、利用者に不公平感が生じておりました。
 また、車など鉄道以外の輸送機関との競争においても、鉄道が不利になるといった問題も生じておりまして、このため、国鉄再建監理委員会が昭和58年8月に出した緊急提言の中で、地域別運賃の導入を提唱したことから、国鉄が昭和59年4月に運賃改定の際に、いわゆる国電区間の最低運賃を据え置くという形で、電車特定区間がつくられ、そのままの形で今日まで続いております。
 また、特定区間でございますが、国鉄当時、民鉄と並行する区間において、大幅な運賃格差が生じており、民鉄への対抗上、その格差を是正する必要が出てきたことから、首都圏では昭和57年4月に設定されたものでございまして、その後、変更されないまま今日に至っております。
 吉田議員の御指摘により、埼玉県内においては、他の都県内に比べまして、運賃の引下げがなされる電車特定区間や特定区間の設定距離が短いという状況について、認識を新たにしたところでございますが、これらの制度については、市販の時刻表にも示されているところでございまして、この実態について十分な問題意識を持っていなかったことにつきまして、交通政策を担当する部長として、深く反省をしているところでございます。
 この問題に関するJR東日本の考え方でございますが、この制度を変更すれば運賃体系全体を見直す必要が生じること、JR東日本としては、今後ともできるだけ現行の運賃水準を維持していくという考え方の下に、使いやすい列車ダイヤの設定や、快適性の向上などを行っていく方針であるとしておりまして、JR東日本として簡単に制度を変更する状況ではないとは存じますが、吉田議員のお話にもございましたように、埼玉県民の方々が特に合理的な理由もなく、相対的に不利な運賃体系に置かれ、混み合った電車に乗っているわけでありまして、また、県民の皆様方にとっては、毎日の生活の負担となっているわけでもあります。制度の改善について、早急にJR東日本に申し入れを行いたいと考えております。
 そして、本県内における運賃について早期に少しでも改善が図られますよう、粘り強く働き掛けてまいる所存でございます。