○ 以外・以内
「以外」は、ある対象のうち掲げたものを除いた残りのものを表す場合に用いる。
例えば、「所有権以外の物権」は、所有権を除く他のすべての物権を表す。
なお、所有権をも含めて表現する場合は、「その他の」を用い「所有権その他の
物権」とする。
「以内」は、通常、期間、広さなどの数量の限度を表す場合に用いる。例えば、
「100平方メートル以内」「7日以内」などと用いられ、この場合は、「10
0平方メートル」「7日」を含むことになる。
なお、「内」も「以内」と同義で用いられることがある。
○ 以上・以下・超える(超過)・満たない(未満)
いずれも一定数量を基準として、その数量よりも多いか少ないかを表す場合に
用いる。
「以上・以下」の場合は、いずれも示された基準自体を含むことになる。例え
ば、「1万円以上」「1万円以下」は、いずれも1万円を含む。
「超える(超過)・満たない(未満)」は、基準の数量を含まない場合に用い
る。
例えば、「1万円を超える金額」「1万円を超過した額」「1万円に満たない
金額」「1万円未満」は、いずれも1万円を含まない。
○ 以前・以後・前(前何日)・後
いずれも一定の時点を基準として、その前又は後における時間的な間隔又は連
続を表す場合に用いる。例えば、「4月1日以後」「3月31日以前」「公布の
日以後」などは、いずれも基準となった日を含むが、「4月1日前」「3月31
日後」「開会の日前7日までに」「公布の日後10日を経過した日」などは、基
準となった月日(開会の日、公布の日)を含まない。
〇 委託・委任・委嘱
「委託」は、ある機関が、その権限に属する事務又は業務を対等の関係にある
他の機関又は一般人に依頼して行われる場合に用いる。
「委任」は、行政法規における用語としては、ある機関の権限に属する事務又
は業務の一部を、これと特別の権力関係にある機関(主として下級庁)等に行わ
せる場合に用いる。
「委嘱」は、主として他の機関の職員又は一般人などの個々の人を相手に、あ
る程度包括的な事務を依頼する場合に用いる。
〇 違法・不法
「違法」は、法令に違反することで、適法の反対、法令違反という形式的な面
をとらえて用い、「不法」は、違法に比べて、実質的、主観的な面に重点を置い
た場合に用いる。
例 行政庁の違法な処分 不法に……料金を免かれ
○ 運営・運用
「運営」とは、団体、機関その他組織又は機構がその機能を発揮するようにそ
れを活動させ、働かせていくことをいい、「地方公共団体の運営」「行政機関の
運営」のように用いる。
「運用」とは、「法律の解釈運用」「無線局の運用」など、字義どおり働かせ
用いるの意味で、「実施」又は「運営」などと同義又は類似の意味を持っている。
○ 押印・認印・証印
「押印」とは、文書の作成者(作成名義人をいい、官公庁では通常その長)が、
その責任を明らかにし、又は自らの意思によるものであることを証するために印
(公印)を押すことをいい、「印を押す」として用いることもある。
「認印」は、文書の作成名義を表すのではなく、他人の作成した文書に別の目
的で印だけを押す場合に用いられる。
「証印」は、証明のために印を押す場合に用いられる。
○ 犯す・侵す
「犯す」は、「罪を犯した者」のように犯罪、すなわち刑罰法規において罪と
される行為を表すのに用い、「侵す」は、「侵すことのできない権利」のように、
権利、自由を侵害する場合に用いられる。
○ おそれ[恐れ・虞]あるとき
注:法令用語改善の実施要領により仮名書きとする。
望ましくない事実又は関係が生ずる可能性があるときという意味で、「公の秩
序を害するおそれがあるとき」などと用いられる。
〇 及び・並びに
いずれも併合的接続詞で、相並ぶ上、下の語をつなぐ場合に次のように用いる。
@ 並列される語句が2個の場合は「及び」で結び、3個以上でも同じ段階での
並列は、初め以下のつなぎを読点で、最後の語句を「及び」で結ぶ。
例 知事及び副知事 鉄道賃、船賃、車賃、日当及び宿泊料
A 並列される語句に段階があるときは、大きな意味の連結に「並びに」を用い、
小さな意味の連結に「及び」を用いる。
例 手当及び旅費の額並びにその支給方法
B 併合的連結が3段階以上になるときは、「並びに」を重複して用い、「及び」
は、一番小さい連結だけに用いる。
例 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間
事業の従事者の給与その他の事情を考慮して……
C 動詞で終わる語句の次に接続詞を用いる場合は、接続詞の前に読点を打つ。
○ 改正する・改める・削除・削る
いずれも法規を改正する場合に用いられる用語である。
「改正する」は、法規を改める場合に、その改められる法規全体をとらえて
「○○条例の一部を次のように改正する。」のように柱書きとして用いられる。
「改める」は、改正法規中の個々の部分を改める場合に用いる。
例 第○条第○項中「3年以上」を「4年以上」に改める。
「削除」は、法規中の条、号などを削った場合に、その条名、号名などを残し
ておく必要のあるときに用いる。この場合は、「第○条を次のように改める。」
のように改正形式をとり、改正後の条文は「第○条 削除」となり、条名は残る。
「削る」は、対象を全部消してしまう場合に用いる。したがって中間の条、項、
号などの場合は、後の条、項、号などを繰り上げて整理する必要がある。
○ 該当する
ある事実や事実関係など特定の法律関係が、定められた法規の規定内容に当て
はまることをいう。
例 次の各号のいずれかに該当する者
○ 価格・価額
「価格」は、一般的又は、抽象的に物をとらえて、その金銭的価値を表す場合
に用い、「価額」は、この物、あの財という具体的に特定した物の金銭的価値を
表す場合に用いられる。
○ 額・金額
「額」は、一般的又は抽象的に金銭的数値を表す場合に用い、「金額」は、具
体的に特定した金銭的数値を表す場合に用いられる。
○ 科する・課する
「科する」は、刑罰・民事罰・団体規則的な罪をかける場合に用い、「課する」
は、公権をもって租税その他の公用負担をかける場合に用いる。
例 2,000円以下の過料を科する。……を課税標準として事業税を課する。
○ かつ
「及び」「並びに」とともに併合的接続詞として用いられるが、通常、連結さ
れる語が密接不可分の関係にあって、二つの語を結んで一つのものとし、意味を
完全に言い表す場合及び二つ以上の条件又は行為が共に必要である場合に用いる。
例 正確かつ迅速な取り扱い 適正かつ合理的な利用
予算がなく、かつ、……の規定により支出することができない……
報告し、かつ、公表を……
〇 から・より(も)
時及び場所の起点を示す場合には「から」を用いる。
例 4月1日から4月10日まで 申請者から申出のあったときは
「より」は、時及び場所の起点を示す場合には用いず、比較を示す場合にだけ
用いる。この場合もなるべく「も」を送り「よりも」とする。
〇 科料・過料
「科料」は、刑罰の一種として科せられる。刑罰のうちでは最も軽いものとさ
れている。
「過料」は、刑罰でなく一種の行政処分であって、秩序罰としての過料、執行
罰としての過料、懲戒罰としての過料などがあり、刑罰たる罰金及び科料と区別
して用いられる。
〇 管轄・所轄・所管・所掌(管理・監督)
「管轄」は、国、地方公共団体などの機関が、その権限を行使することができ
る範囲を示す。管轄には、通常、土地管轄(権限の及ぶ区域の範囲)と事物管轄
(事件の種類、内容などに応じて権限の及ぶ範囲)とがある。土地管轄の及ぶ地
域の範囲を、地域を主にしてみる場合に「管轄区域」という。
「所轄」は、「管轄するところの」という意味(例 所轄警察署長)と、ある
機関とその管轄下にある機関との間の関係を表す場合(例 内閣の所轄の下に)
とに用いられる。
注:後者の場合、その関係の濃淡の度に応じて「管理」「監督」とがあるが、
権限の関係からみれば「管理」が最も強く、「監督」は「所轄」に近い。
「所轄」は、最も薄く、当該機関の独立性が強く、一応管轄する機関の下
に属するという程度の場合に用いる。
「所管」は、行政事務などの管轄権の帰属を表す語で「ある行政事務を管轄し
ているところの」「その管轄に属しているところの」という意味で用いる。
例 所管大臣 所管の行政
「所掌」は、「所管」とほぼ同様の意味を表すが、主として事務と結びつけた
場合に用いられる。
〇 管理・監理
「管理」は、前記の注のほか、事務を処理執行すること、事業を経営し物的設
備の維持管理をなす作用、私法上財産の保存、利用、改良を図ることなどの場合
に用いる。
「監理」は、「監督」とほぼ同義で、主としてある人又は機関の行為が不法、
不利に陥らぬよう監督し、指揮統制する場合に用いられる。
なお、法令用語改善の実施要領では「監督管理」と言い替えて用いることとし
ている。
〇 議により・議を経て・議に諮って・議に付し
いずれも合議体の機関の審議に付することをいう。法令上、行政機関などがあ
る行為をする手続、要件として、あらかじめ一定の他の合議体の機関の審議に付
すべきものとされている場合が少なくないが、これらの場合に用いられる語であ
る。その議決が行政機関などに及ぼす拘束力については、個々の法規の規定の趣
旨に従うべきであるが、一般に最も拘束力が強いとされるのは「議により」の場
合で、原則としてその議決に拘束される。
「議を経て」の場合は、比較的拘束力が強く、場合によっては「議により」に
近い意味で用いられることがある。その他の場合は、原則的に拘束力が弱く、そ
のままの形ではその議決に拘束されない。
〇 期間・期限・期日
「期間」とは、一定の時間的隔たりの長さ、すなわち始期から終期での間をいう。
例 4月1日から6月30日まで 1年間
「期限」とは、一定の時期を限った場合の日時をいい、始期と終期があり、始
期以後又は終期以前における不定の時間的な広がりを持っている。
例 5月31日までに 公布の日から10日を経過した日から
「期日」は、「期限」が不特定の時間的長さを含むのに対し、その時期が一日
の間に特定される点が異なる。
例 4月1日に 条例施行の日に
〇 規程・規定
「規程」は、一法規の総体を指す場合に用いる。
例 文書管理規程
「規定」は、法規の中における個々の条項(定め)を指す場合に用いる。
〇 記名・署名
「記名」とは、文書などに作成者(作成名義人)の責任を明らかにするため氏
名を書くことをいう。「署名」とは異なり、他人が書いても、印刷してもよい。
この場合は、通常印を押すことが多い。
「署名」とは、前記の場合に自らその氏名を書くことをいう。この場合には、一
般には押印を要しないことが多い。
例 条例を公布しようとするときは、……に知事が署名しなければならない。
〇 原本・謄本・抄本・正本・副本
「原本」とは、作成者が一定の内容を表示するため、確定的なものとして最初
に作成した文書をいう。作成者自らの署名押印を要し、一定の場所に保存するこ
とが必要である。
「謄本」とは、原本に対する語であって、原本と同一の文字・符号を用いて内
容を完全に写し取った書面をいう。権限のある機関が、原本の内容と同一である
旨の認証をしたものは、原本又は正本と同様に扱われる。
「抄本」とは、抄録謄本のことで、原本の一部を原本と同一の文字・符号によっ
て写し取った書面をいう。
「正本」とは、謄本の一種であって、法令の規定に基づき、権限のある者によっ
て、特に正本として作成されたものをいう。法令の規定により原本を一定の場所
に保存することを要する文書について、その効力を他の場所で発揮させる必要が
ある場合に、原本と同一の効力を有するものとして作成される。例えば、訴訟の
当事者に判決を送達したり、執行文を付与する場合には、判決の正本が用いられる。
正本は、原本の一部についても作成されることがある。副本に対する用語とし
て用いられることがある。
「副本」とは、正本に対する語で、ある文書の本来の目的以外の目的に用いるた
め、正本と同一内容の文書が作成される場合に、これを副本という。副本は、謄本
のようにまず原本があって、それに基づいて作成されるのではなく、初めから正本
と同一内容のものとして作られる点において謄本と異なる。
注:通常文書の作成、提出などの場合における「正副〇通」という語は「正」
が当該文書の本来の目的のために作成、提出されるもの、「副」は前記の意
味で用いられる。
〇 権利・権能・権原・権限
「権利」とは、一定の利益を自己のために主張することができる法律上保障さ
れた力をいう。
注:私権→物権・債権・親族権
公権→警察権・刑罰権・選挙権・参政権
「権能」とは、法律上認められている能力をいい、能力の範囲及び限界よりも、
その内容及び作用に重きを置く場合に用いられる。
「権原」とは、ある法律行為又は事実行為をすることを正当ならしめる法律上
の原因をいう。民法上所有権者に対し、地上権、賃借権などを有する者の法律関
係を表す場合の用語として多く用いられる。
「権限」は、広く用いられる法令用語で、国、地方公共団体、各種法人又は個
人の機関(又は代理人)が法律上若しくは契約上なし得る行為の能力又はその範
囲をいう。
〇 この限りでない
ある規定の全部又は一部の適用除外を規定する場合に用いられ、通常ただし書
の語尾となることが多い。
例 ……となることができない。ただし、……の者は、この限りでない。
注:「この限りでない」という語は、本文の規定を打ち消すだけで消極的な意味
で用いられる。したがって積極的な意味を持たせるためには明示的に規定すべ
きである。
〇 この場合において(は)
ある規定の末尾に、後段として補足的に文章を続ける場合に用いられる。
例 議会がこれを決定する。この場合においては、出席議員の3分の2以上
の多数により決定しなければならない。
なお、「この場合において」は、他の規定を準用した場合の読替規定にも「こ
の場合において「〇〇」とあるのは「〇〇」と読み替えるものとする。」のよう
に用いられる。
〇 採決・裁決・裁定
「採決」とは、議長が議案の可否を議員に問い、採否を決定することをいう。
「裁決」とは、不服申立てのうち審査請求に対して行政庁のなす処分をいう。
「裁定」は、相対立する当事者間に意見の不一致がある場合に第三者が裁断を
下す場合に用いられる。
例 仲裁裁定
〇 作成[作製]・調製
注:「作製」は法令用語改善の実施要領により「作成」とする。
「作成」は、一定の案、書類などを作ることの意味に用いられる。
「調製」は、作成に比べて種々の素材を基礎にして整ったものに作り上げると
いう感じの場合に「予算の調製、計算書の調製」などと用いられる。
〇 事件・事案・案件
「事件」は、法令上は、問題となっている事項、事実又は関係を意味して用い
られる。
「事案」は、問題となっている事件を主として内容的に、これから処理すべき
問題として取り上げる場合に用いられる。
「案件」は、処理される事柄、議題となる事案を外形的に観念した場合に用いる。
例 すべての案件に先立って…… 開催の日時、場所及び案件
〇 施行・適用・公布・施工
「施行」とは、法規の規定の効力を現実に一般的に発動させることをいう。通
常その法規の附則で施行の日を定めるのが例である。(注:定めのない場合、法
律は公布の日から起算して20日を経て、条例は10日を経過した日から施行する。
法例1、自治法16)
なお、「施行」は常識的な意味で「実施」と同様に用いられることもある。
「適用」は、「施行」が法規の規定の効力を一般的に発動させるのに対し、特
定の法規の規定をある人、ある事項、ある事件など個別の対象に対して働かせる
場合に用いられる。通常の場合は、施行日を定めれば、当然にその日から適用さ
れることになる。したがって、適用は、ある対象を過去にさかのぼって働かせる
場合に用いられ、その他は、特に適用区分を明らかにする場合以外は用いない。
例 ……公布の日から施行する。ただし……の規定は平成○年○月○日から適
用する。(平成○年度支給分から適用する)
注:「準用」との差異については「準用」の項を参照すること。
「公布」とは、成立した法規を公表して一般国民(県民)が知り得る状態に置
くことをいう。
「施工」は、建築・土木工事などを行うことを表す場合に用いられる(例 建
築工事を施工するときは)が、その意味は、常識的な意味における「施行」と別
段の差がない。したがって、工事についても「施行」を用いた例もある。
〇 住所・居所(現在地)・所在地
「住所」とは、各人の生活の本拠、すなわち生活の事実上の中心点となってい
る場所をいう(民法21)。
「居所」とは、人が多少の期間継続して居住しているが、その場所とその人と
の生活の結びつきが、住所ほど密接でないもの、すなわち、そこがその人の生活
の本拠というまでに至らない場所をいう。
なお、その人と土地との関係が、居所よりも更に浅い場所(旅行中の滞在地な
ど)を「現在地」といって居所と区別することもある。
「所在地」は、物の存在する場所(地名)をいい、「事務所の所在地」などと
用いられる。
〇 縦覧・閲覧
「縦覧」とは、物をだれにでも見せる定めがある場合に、これを見ることをい
い、主として書類、名簿などについて異議の申立ての機会を与えるなどの目的で
広く一般に見せる場合に多く用いられる。
「閲覧」も、物を見せるということであるが、通常申出を待って利害関係者又
は請求者に調べてみる機会を与える場合に用いられる。
例 何人でも、市長村長に対し、住民基本台帳の閲覧を請求することができる
(住民基本台帳法11)。
〇 受理・受領
「受理」とは、申請、請願、不服申立て、届出などについて公の機関が、その
行為を有効なものとして受け取ることをいい、単なる事実行為である到達とは異
なり、受動的な意思行為である。したがって、受理の権限を有する者でなければ
受理することができず、また、適法な行為に対しては、これを拒むことができない。
「受領」とは、他人からある給付を受けて取って、これを自分の勢力範囲内に
置くことをいい、「受領」の対象は、おおむね、金銭、物品その他による財産的
給付である。
○ 準用・読替規定・適用・例による
「準用」は、重複した同様の事項を規定することを避けて、既に規定されてい
る事項を新しい規定の上に必要な修正を加えて適用させる場合に用いられる。例
えばaという事項(人、事件など)について規定されているAという法規を、多
少aに類似するが本質上これと異なるbという事項に当てはめるときに用いられ、
その性質上、手続規定の場合になされることが多い。
「読替規定」は、準用の場合に、準用される条文(aという事項)がその場合
(bという事項)には、どのように変更して使われるのかということをはっきり
示すときに用いられる。
例 ……には、第10条第1項及び第11条の規定を準用する。この場合にお
いて「許可」とあるのは「届出」と読み替えるものとする。
「適用」とは、特定の法規の規定をある事項(人、事件など)に対して働かせ
ることをいい、準用との差異は、「準用」がaに関する法規の規定をaと本質の
異なるbに対して、当然必要な読替えをして当てはめるのに対し、「適用」は法
規の規定が本来の目的とする対象そのものに当てはめる場合及びaに関する規定
をそのまま引用してbに当てはめる場合に用いられる点において異なる。
例 ……に関する規定は、 ……職員を退職した者について適用する。
「例による」は、「適用」及び「準用」よりも更に広く、ある制度や法規の規
定などを包括的に他の同種の事項に当てはめようとする場合に用いられる。この
場合には、該当法規だけでなく、これに関する施行規則などを含めることになる。
〇 掌理・所掌・分掌・管掌
「掌理」とは、一定の事務をつかさどり、これを治めることをいい、主として、
国、地方公共団体、特別法人などの機関の長、その部局の長その他の幹部職員が、
その所掌事務を行い、かつ、治めることを表す場合に用いられる。「総轄・総括
・統括」などとの差異は、必ずしも明確ではないが、以上の語が、総合的、包括
的にすべて治めるという意味があるのに対し、「掌理」には事務を直接に掌握し
て治める意味で用いられることが多い。
例 所長は、所務を掌理し、及び所員を指揮監督する。
「所掌」とは、ある事務が、国、地方公共団体などの特定の機関のつかさどり
行うべき事務として、法規上定められている関係を表す用語であって、「つかさ
どっているところの」という意味で用いられる。
「分掌」とは、ある機関の権限に属する事務を下級の機関又は職員に分けて処
理させることをいう。権限の委任を受けた場合と異なり、事務を分掌しているだ
けで、外部に対して権限を行使することはできない。
「管掌」は、一般には本来他の人又は機関の事務であるものを管理する場合に
用いられるが、そのほか管理経営することの意味(社会保険事業などの公企業に
ついて国が自らの経済をもって独占的に管理経営することを法律上宣明する。)
でも用いられる。
〇 することができない・してはならない
「することができない」は、通常法律上の能力又は権利がないことを表現する
場合に用いられる。したがって、このような規定に違反する行為に対して罰則が
設けられることは少ない。
例 男は、満18歳に、女は、満16歳にならなければ、婚姻をすることがで
きない(民法731)。
「してはならない」は、不作為の義務があることをいう。すなわち、人の事実
上の自由に対する制限を示し、法律上の権利又は能力に関する規定ではない。し
たがって、この規定に違反する行為の効果は、処罰の原因となることはあるが、
法律行為としての効力とは、直接関係するものではない。
〇 設置する・置く・設ける・設立する
「設置する」は、単に物を物理的に設ける行為を、その物の保存又は管理の行
為と比較して「設置」という。また、ある施設又は制度を法律上の存在として設
ける行為をもいう。
「置く」「設ける」は、前者に比べ、比較的規模の小さい機関又は特定の職員
などの場合に用いられる。
例 次の課及び担当を置く。 部に部長を置く。 必要な分課を設けることがで
きる。
「設立する」は、法人その他の団体などを成立させる場合に用いる。
〇 前・次・同
「前」は、直前の条(項、号)を引用する場合に「前条(項、号)」というよ
うに用い、直前の数条(項、号)を連続して引用する場合も、「前2条(項、号)」
「前3条(項、号)」「前各条(項、号)」というように用いる。
「次」は、直後の条(項、号)を引用する場合に「次条(項、号)」というよ
うに用いる。
なお、「前2条(項、号)」「前3条(項、号)」「前各条(項、号)」に対応
する「次2条(項、号)」「次3条(項、号)」「次各条(項、号)」というよう
な用い方はしない。
「同」は、直前の場所に表示された条(項、号)、年、月などの字句を受けて、
厳密に同一の対象であることを示す場合に用いられる。同じ条中の同じ項(号)
を表示する場合には、同条同項(同号)としないで、単に同項(号)でよい。
〇 送付・送達・交付
「送付」は、通常、発送から到達までの過程を包括した観念として用いられる。
「送達」は、訴訟上の書類を一定の方式により、当事者その他の訴訟関係人に
了知させることを目的とする裁判権の作用として用いられる。そのほか単に書
類を送り届ける意味にも用いる。
「交付」は、物を他人に渡すこと、すなわち物の所持を他人に移転する場合に
用いる。
〇 その他・その他の
「その他」は、特記された事項以外の事項が、並列的に多くあることが予想さ
れる場合に用いる。したがって、「その他」の前に掲げる語句と、後に掲げる語
句とは、並列することになる。
賃金、給料その他これに準ずる収入 注:「その他の」に近い用法
「その他の」は、前に掲げられたものが「その他の」の後に規定される語句の
中に含まれ、その一部をなす場合に用いられる。
例 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件 上水道その他の給水事業
〇 代行・代理・補助執行
「代行」は、本来の職にある者に故障があったり、又は欠けたときに、その職
務を代わって行うべき者を定める場合に用いられる。「代理」よりもやや広い観
念で、法律行為だけでなく事実行為をも代わって行う。
「代理」とは、代理人が被代理人に代わって意思表示又は行為をし、その法律
関係が被代理人に帰属する関係をいい、「補助執行」とは、ある行政機関の事務
を他の行政機関に所属する職員が補助して執行することをいう。
〇 直ちに・速やかに・遅滞なく
いずれも、特定の行為又は事実とその後に続く行為との時間的近接を示す語と
して用いられるが、「直ちに」は、一切の遅延を許さない時間的即時性の強い場
合(例……のおそれが生じた場合は、直ちに消火しなければならない。)に、
「速やかに」は、「直ちに」よりも時間的急迫性のゆるい場合及び訓示的意味
を持つ場合に用いられる。
例 ……実施したときは、速やかに報告しなければならない。
「遅滞なく」も、「直ちに」「速やかに」と同様時間的即時性を表す語として
用いられるが、この場合でも正当又は合理的な理由による遅滞は、許容されるも
のと解されている。
例 ……事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を届け出なければなら
ない。
〇 当該
「当該」は、次の意味で用いられる。
@ ある規定中の特定の対象をとらえて、その対象をその規定又は他の規定で引
用する場合に、それが前に規定された特定の対象と同一のものであることを示
す場合
例 特設水道を布設しようとする者は、当該特設水道について……
A そこで問題となっている場合のそれぞれのという意味を表す場合
例 次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
B 職制上特定の事項(例えば立入検査)について、正当な権限を有する職員と
か、それについての事務を担当しているという意味を表す場合
○ 当事者
ある法律関係について、直接これに関与する者をいう。「第三者」に対する語
である。
○ 時・とき・場合
「時」は、特定の時点を瞬間的にとらえて表現する場合に、「とき」は、不特
定の時点を表す場合及び「場合」と同じく仮定的条件を表す場合に用いられる。
「場合」は、仮定的条件を表す場合に用いられる。
なお、仮定的条件を表す場合に「とき」と「場合」のいずれを用いるかは、別
に慣例がないが、仮定的条件が二つ重なる場合には、大きい方の条件を「場合」
で表し、小さな方の条件を「とき」で表すのが例となっている。
違反した事実があると認める場合において取締上必要があるとき
○ 所・ところ
「所」は、一定の場所を表し、「ところ」は、「ところ」で受ける文の内容全
体を包括的に代表する代名詞として用いる。
例 家を建てる所を選ぶ 注:法令用語としては「場所」や「位置」を用いる。
意見が一致しないときは、会長の決するところによる。
○ とする・である
「とする」は、創設的に拘束的な意味を持たせる場合に用い、「である」は、
単なる事実の説明の場合に用いられる。
例 地方公共団体は、法人とする。 ……することは、国民固有の権利である。
○ なお従前の例による・なお効力を有する
いずれも、法規の改廃があった場合に、改廃前の旧法の行為適用などが、新法
へ円滑に移行するようにするための経過規定として用いられる。
「なお従前の例による」は、改廃された法規の規定は、完全に失効するが、特
定の事項について、経過的に、改廃直前の法制度をそのままの状態で適用する場
合に用いる。
例 この条例施行前にした行為に対する……の適用については、なお従前の例
による。
「なお効力を有する」は、特定の規定だけを、特定の事項について、経過的に存
続させて適用することをいう。「従前の例による」の場合は、規定そのものは凍結
された状態にあるが、「効力を有する」の場合は、なお生きているので、これに基
づく命令は、必要があれば改正できる。
例 ……法は廃止する。ただし、同法廃止前にした……に関しては、なお効力を
有する。
……旧条例は、この条例施行後も、なおその効力を有する。
○ ……に係る・……に関する
「に係る」は、「に関する」よりも直接的なつながりのある場合に用いる。例え
ば、「申請に係る事項」という場合には、その申請の目的となっている事項又はそ
の申請の内容となっている事項を指すことになる。
「に関する」は、「に係る」よりも間接的なつながりの場合に用いられる。
例 給与、勤務時間その他の勤務条件に関する措置の要求
○ にかかわらず
ある事項に関し適用される一般原則的な規定を排除し、特例を定める場合に、こ
の両者の関係を明示するためと、ある事項について一定の条件の有無を問うこと
なくという意味で用いられる。
例 前条の規定にかかわらず ……の有無にかかわらず
○ 認可・許可
「認可」とは、ある人の法律上の行為が、公の機関の同意を得なければ有効に
成立することができない場合に、その効力を完成させるため公の機関の与える同
意をいい、「許可」とは、一般的禁止行為を公の機関が特定の場合に解除し、適
法にこれをすることができるようにする行為をいう。
○ 配布・配賦・頒布
「配布」は、書類・物品・金銭その他のものを配り渡すという意味で用いる。
なお、「配付」は、法令用語改善の実施要領で「配布」に統一された。
例 資料の収集及び配布
「配賦」とは、一定の(金)額の決まったものを、割り付けて配るという意味
で、「一定のものを割り付けて配る」という点で配布と異なる。
「頒布」は、文書、資料などを広く、不特定多数の者に配り分けるという意味
で用いられる。「配布」の場合は、対象が何らかの意味で特定されていることが
多いが、「頒布」の場合は特定されていない。
○ 又は・若しくは・あるいは
いずれも選択的接続詞で、「及び・並びに」が「AとB」のように並列的・併
合的に接続されるのに対し、「AかBか」のように選択的に接続する場合に次の
ように用いられる。
@ 接続する語句が2個の場合は、「又は」で結び、3個以上でも同じ段階の場
合は、初めの方を読点で、最後の語句を「又は」で結ぶ。
例 出納長又は収入役 戒告、減給、停職又は免職の処分
A 接続する語句に段階のある場合は、大きな意味の連結に「又は」を用い、小
さな意味の連結に「若しくは」を用いる。
例 都道府県の支庁若しくは地方事務所又は市町村の支所の長
B 選択的連結が3段階以上になるときは「若しくは」を重複して用い、最も大
きな連結のみを「又は」で結ぶ。
注:ABともに「及び」「並びに」の場合と用法が逆になる。
例 ……は販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装
若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき
注:「及び」と「又は」は、併合的、選択的の違いがあり、その意味では用
法も確立されているが、実際には、@両方の意味を与えなければならない
場合や、AAもBもCのことをしてはならないとか、BAもBも、C又は
Dのことをしてはならないなどと規定を要する場合があり、いずれを用い
るのか迷う場合が多い。この場合の用法は、確立されているとはいえない
が、通常@の場合は「A又はB」Aの場合は「A及びBはCのことを……」
Bの場合は「A及びBは、C又はDのことを……」とするのが通例である。
「あるいは」は、「又は」「若しくは」で表現できない大きな選択的連結
を表現する場合に用いられるが、法令用語としては、一般的に使用されて
いない。
○ みなす・推定する
いずれも認定の意味でもちいられるが、法令用語としては厳密な区別がある。
「みなす」は、ある事物と元来性質を異にする他の事物を、一定の法律関係の
下において同一とみ、そのある事物について生ずる法律効果を性質を異にする他
の事物について生じさせることをいう。「みなす」の場合は「推定する」と異な
り、反証を許さず一定の法律関係に関する限り、絶対的にこれを同一視すること
になる。
例 ……は、その住所が、その市町村の区域内にあるものとみなす。
「推定する」は、ある事物と同一であるかどうか不明の他の事実を、一応その
事物と同一視して法律効果を生じさせる場合に用いられる。この場合は「みなす」
と異なり、反対の証拠があれば、その推定を覆すことができる。
例 ……共用部分は、その共有に属するものと推定する。
○ 者・物・もの
「者」は、自然人、法人を通じ、法律上の人格を有するものの単数又は複数を
指す場合に用いられる。
例 次の各号に掲げる者 ……の行為をした者 ……の規定に違反した者
「物」は、人格あるものを除いた有体物を指す場合に用いる。
例 自己の所有に属する物 物の使用の対価として……
「もの」は、人格のない社団、財団その他人格のない団体を表す場合、人格の
ない団体と人格を有する自然人、法人の双方を含めて表す場合及び者又は物のあ
る種の限定を説明する場合や抽象的なものを表現する場合に用いる。
例 ……の学力があると認められる者で特殊な技能を有するもの
○ ものとする・しなければならない
「ものとする」は、場合によっては、「しなければならない」と同じ意味にも
用いられるが、通常は、原則や方針などを示す場合に用いられる。
例 その事務を総括するものとする。 必要な事項を定めるものとする。
「しなければならない」は、完全な義務づけをする場合に用いられる。
例 知事が署名しなければならない。 ……提出しなければならない。
○ 最寄り(もより)
手近な、便宜の、という意味で用いる。これは、あらかじめ定まった管轄権の
範囲によらずに、一定の機関のうち最も手近な、最も便宜な機関を利用すること
ができる場合に用いられる。
○ 要綱・要領
「要綱」、「要領」は、事務事業の実施や事務運営あるいは行政指導などに関
する一定のまとまりのある定めの題名に用いられる場合が多いが、どのような場
合に「要綱」とし、あるいは「要領」とすべきかについて特に明確な基準はない。
実務上、同一の事柄について定めをする場合に、重要で基本的な事項について
は「○○要綱」とし、軽易で細目的な事務の取扱いなどについては「○○要領」
とする例がある。
○ 用に供する
何々の用途に当てる、何々のために用いる及び何々の使用(利用)に当てるの
意味に用いられる。
○ 例規・令規・内規・成規
「例規」とは、事務処理上直接又は間接に根拠となるもので、法令、条例、規
則などや判例、通達、内規などを総称したもの、「令規」とは、法令規程一般を
指していうが、あまり用いられない。
「内規」とは、内部規定のこと、その内容が他に知られては好ましくないもの
や一定の形式を必要とするほどのものでない軽易な規程類をいう。
「成規」は、ある法規又は規律によって定められている手続、方式などという
意味で、例えば、「成規の用紙を用いない投票は無効とする」などと用いられる。
注:「成規」は「正規」と紛れやすいため、「法令用語改善の実施要領」で、
今後「所定」を用いることとされている。
○ 例とする・常例とする
いずれも、通常の場合においては当該規定の定めるところにより、一定事項をな
すべきであるが、「しなければならない」のように法的拘束力を持つものではない。
仮に違反しても法律上の義務違反にはならないような、ごくゆるい訓示的規定の場
合に用いられる。
例 ……は、国勢調査の結果によって更正するのを例とする。
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